2007年7月1日日曜日

これでいいのかな?リハビリ...


開業医という町医者をしていて第一線の病院での高度の医療を客観的に見るようになってきた。
本日も地元の大きな有名病院で人工膝関節置換術をされた患者様がやって来た。
意を決して膝痛から逃れるため手術をされ術後1ヶ月で退院されたとのこと。本人曰く、入院中は今までの膝板も無く歩く練習をして調子良かったが退院するとそこは病院と違い階段、段差、全て洋式とはいかぬ環境に思うようにいかず車イスに乗られて余計にADLが下がっているような?

当院の通所リハビリにこの春から通い始めた90代の女性、1年前に大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術をされやはり例外なく予定通りに退院→老人施設に入所でこの1年ベッド上と車イスの移動で患肢股関節も伸展はできるのだが屈曲制限があり座位をとろうとすると姿勢良く座れず半リクライニング状態。(この方が最近リハビリの甲斐あって?「よいしょ!よいしょ!」と大きな声を出して必死で平行棒内を1年ぶりに2本足で歩行されている。この頑張っている90代を目の当たりにするとすごく心を打たれる。)

最近病院ではクリティカルパスと言って疾患ごとに治療プランが標準化されている。だいたい人工物は術後1ヶ月で退院の運びとなる。(早期退院を評価するという国策の賜だ、)私が病院に勤務していた時代は、大学病院は除きまだ一般的でなくいわゆる良くなるまで入院だった。病院側から見ると余り長い間入院されればベッドが回らず非効率だが、殆どの患者様がそれまでに試験外泊を繰り返し、自宅の整備もでき何よりも毎日リハビリをする環境にあればそれなりに良くなるので退院時には本当に良くなったと喜ばれ、受け持った理学療法士をはじめとするスタッフにも感謝され帰られていった。この長い入院において治療する側、される側の絶大な信頼関係が生まれて理学療法士等にも自分の力が発揮できたという自負がもててすごくやり甲斐もあったのでは無いだろうか?(逆に今は、患者様の入院生活において退院後リハビリスタッフの記憶は何処まで残っているのだろうと思うのは私だけ?)

やはり術後成績は、患者様の体力、年齢、疾患の程度、(あってはならないことですがOPの出来具合)によって左右されるのは当然でそれを杓子定規に全て同じに扱う国のやり方はどんなものだろう? 

当院は時間切れ→退院→結局ADLの低下の切り捨てルートに乗せられた方が手術を受けた病院と同じレベルのリハビリを受けられ、QOLが高められるような施設造りを目標として頑張ります。